チームとサポーターを結び付けたエメリ
なんだかんだエメリのやり方には批判的でしたが、いざ解任が発表されエメリがチームに残したメッセージを読んだ後の自分の心には感謝の気持ちが生まれていました。たった1年半しか滞在してなかったのになぜか内容が良くも悪くもすごく濃かったように思います。
プレミアリーグは5位で終え望みのELでは優勝を逃し、CL出場圏内に入れなかったのになんで?と思うかもしれません。
もちろん結果が一番大事です。めちゃくちゃ悔しい思いをたくさんしました。ただ僕は、これまでずっとアーセナルに足りていなかったものが何だったなのかエメリのサッカーによって気付かされたような気がします。それはチームとサポーターの一体感です。
アーセナルをずっと支えてきたヴェンゲルがクラブを去り、昨シーズンにエメリはアーセナルにやって来ました。ヴェンゲル色が根付いているアーセナルをいきなりエメリ色に変えることは容易ではないとされていた中、彼は開幕2連敗するもその後は21年ぶりのリーグ戦ホーム10連勝、リーグ戦14戦無敗とすぐに結果を出し、サポーターの心を掴みました。競争の激しいプレミアリーグで、就任して間もない監督がここまで良い成績出すとは誰も思わなかったことでしょう。
リーグ戦無敗中のアーセナルは数々のドラマがありましたね。例えば、エジルが大活躍した対レスター戦、ラカゼットのゴールで同点に追いついた対リバプール戦、後半のエメリの采配によって勝利を掴んだ対スパーズ戦など。本当にいい試合ばかりでした。
これらの試合には共通することがあります。前半を一度もリードして折り返したことがなかったことです。アーセナルの総ゴールの内ほとんどが後半にたたき出されたものでした。後半の選手交代やシステム変更が的確な軌道修正を施し、エメリの修正力はチームの勝利に確かな助けとなっていました。たとえ先制点を奪われても、暗い空気が漂うことはなく、多彩な戦い方で結果がついてきていたことから、サポーターは最後まで希望を抱くことができていました。
この頃のアーセナルの雰囲気は本当に最高でした。俺たちのアーセナルが返ってきた!こんな気分になったのはいつぶりだろうって。アーセナルのゴールが決まると度々カメラはエメリにフォーカスし、彼のセレブレーションがよりチームやサポーターを活気づける。ゴールを決めるごとにどんどんスタジアムの熱気は上昇し、サポーターのボルテージもどんどん高まる。ホームの時は特にサポーターとチームが1つになったような感じがして、お互い自信に満ちあふれていたと思います。何度同じ試合を見返して泣きそうになったことか。僕がアーセナルのファンになってそれほど時間は経っていませんが、自分にとって18/19シーズンは忘れられないシーズンの1つになりました。
今季のエメリは非常に残念な結果で批判の嵐になってしまい昨シーズンの良かったことを思い返されることもなく解任されてしまいましたが、1年半という短期間でエメリがアーセナルにもたらしたもの、それが僕にとってとても大事なことだと感じたので、よくなかったことは書かずによかったことだけを文章として残そうと思い、この記事を作ろうと決めました。
赤いロンドンのチームを率いてくれてありがとうございました、エメリ
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